トヨタのロボット技術を通して、 障がいがあっても夢や目標に チャレンジできる社会を実現したい。
A.G 身体障がい(下肢)
未来創生センター R-フロンティア部
2007年入社
身体障がい者に「移動の自由」を。
それをかなえたいとトヨタを志望。
私は身体に障がいがあったため、小さい頃から周囲にサポートしてもらって生活することが日常でした。それに慣れてしまい、高校時代までは自分からアクションを起こして何かに挑戦しようとしたことなどなかったのですが、大学に進学して興味のあったロボット工学を専攻し、またそこで初めて一人暮らしをしたことが自信にもつながり、私の中にチャレンジ意欲がどんどん芽生えてきたのです。幸いにも私はクルマを運転することができ、クルマというツールのおかげで自分の活動範囲が広がり、経験できることが格段に増えました。身体に障がいのある人にとって、自分の意思で自由に行動できるのは何よりも大きい。そんな「移動の自由」を誰もが享受できる社会を、自分が学んだロボット技術を活かして実現したいと願い就活時にトヨタ自動車を志望しました。トヨタがロボットを開発しているのは愛知万博にロボットを出展していたので知っていましたし、クルマという枠を超えて新しいモビリティに挑戦していることにも大いに魅力を感じました。真に「移動の自由」を実現するためには、モビリティを作るだけではなく社会のインフラそのものを変えなければならず、それを果たせるのはやはりモビリティ社会にイノベーションを起こしてきたトヨタではないかと。そうした私の想いが届き、無事トヨタに採用されましたが、その時の気持ちを記したエントリーシートはいまでも大切に保管し、ときに読み返しては初心を思い起こしています。
障がいなど関係なく、さまざまな経験を重ねて
自分の力を高めてきた。
トヨタは障がいの有無など関係なく、仲間とともに頑張り、世の中をより良い方向に変えていきたい人にさまざまな機会を与えてくれる会社です。入社後はロボットの開発部門にハード設計の技術者として配属され、これまでにパーソナルモビリティロボット「ウィングレット」や、脳卒中などによる下肢麻痺のリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」の開発などを担ってきました。また2016年からは3年間、自動車の電子部品の生技部門に在籍し、トヨタのモノづくりの思想を学びながら、未来を見据えた生産技術の開発に奮闘。こうした貴重な経験も重ねながら、技術者としての幅を広げてきました。そして現在は、いまトヨタの現場が抱えている課題を解決するロボットを開発するという、新たなプロジェクトに取り組んでいるところです。また、部内で繰り広げられている別のプロジェクトにも志願して参加しています。トヨタは東京2020オリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナーとして、車いす席のお客様の心置きない観戦を支援する生活支援ロボット“HSR(Human Support Robot)”を開発しています。このHSRを、特例子会社トヨタループスの社員の方々が豊田市から遠隔操作し、東京のオリンピックスタジアムでのお客様をサポートするという新たなサービスを創ろうとしており、私も障がいのある身として「ぜひ関わりたい」と参画を志願しました。障がい者の方々の心理や行動を理解した上でどのようなサービスを創るべきか意見を出し、トヨタループスのみなさんと一緒に議論しながらこのプロジェクトをリードしています。
ロボットとともに走る、
聖火ランナーにも挑戦。
障がいがあったとしても、テクノロジーを使えばチャレンジできることの幅が大きく広がります。私もこれまでの人生でそんな体験を幾度も味わってきましたし、いま障がいがあり苦労されている方々に向けても、テクノロジーを味方にすれば夢や目標にチャレンジできることを伝えていきたい。そこで先日、「誰もが夢をかなえられる社会」を実現したいという想いから、東京2020オリンピック聖火ランナーに名乗りを上げました。トヨタは東京2020オリンピック聖火リレーのプレゼンティングパートナーであることから、特殊な移動手段での走行方法を東京2020組織委員会に推薦できると聞き、せっかく聖火ランナーを務めることができるならば、私が実現したい世界観をもっと表現できないかと考えたのです。そこでパートナーロボットであるHSRと一緒に走る企画を提案したところ、社内での幾度の調整の末に私の熱意が通り、ロボットと共に走るランナーとして推薦されることに。最終的に東京2020組織委員会からの正式決定を得られ、その時はとても感激しました。本番に向けてはHSRの機能や精度をさらに向上させなければなりませんが、部内の若手技術者たちも応援してくれて、いろいろとアイデアを出して開発を手伝ってくれました。ロボットと一緒に聖火ランナーを務めるという私のチャレンジは、トヨタにいるからこそ実現できた。たとえ障がいがあっても、そこから発想できることを強みにして、社会をより良く変えていくモノを創り出せるチャンスがトヨタにはたくさんある。そうしたチャレンジを一緒に頑張ってくれる優秀な仲間もいますし、これからも私は入社時に描いたビジョンの実現に向けて、トヨタでさらに有意義なキャリアを重ねていきたいと思っています。
※ただし本企画は東京2020大会1年延期決定前の内容であり、今後変更の可能性がございます。
MESSAGE上司からのメッセージ
率直なところ、Gさんを障がい者だと意識してはいません。もちろん身体が不自由なことに対して配慮はしていますが、チームに欠かせない大切な戦力であり、私自身も大きな信頼を寄せています。Gさんは常にポジティブで、開発が難航している時などチームにエネルギーを与えてくれる存在。今後は専門性をさらに究めつつ、よりリーダーシップを発揮して周囲に良い影響を与えてくれることを期待しています。
部署名、役職、業務内容等は、
インタビュー当時のものです